2016年09月30日

”鬼師鬼秀の嘆き 

 ”最近の瓦は捻れも少なく行儀が良くなっているな、でも……”

”でも…”飲み込んでしまった言葉は何だったのか。


 建築というモノづくりの潮流は、ご多分に漏れず、近代化のテーゼであるところの”効率よく生産性高く”である。
 ”効率よく生産性高く”であるために、建設工期は短く短く、バラツキのない材料で、均一さが求められてきた。

 屋根も瓦も、これから逃れることは出来ない、”短くバラつかない、さらに軽く”と要求もアップし、施工は土葺き(置土葺き:瓦の下に土を置いて瓦を据える工法)から土を要しない引っかけ桟葺きに変わってきた。

 瓦も土のクッションが無くなったため、現場では、捻れも少なく行儀(癖の無い)のよい瓦が求められた。
 ”規格から一分の狂いは返品”の時代となった。
        一分:「いちぶ」尺貫法の長さの基本単位。、一分=約3.03mm


 昔、瓦職人は不揃いな瓦を「なだめてすかして」納め、部分と全体が調和するラインやシルエットで葺き上げた、捻れ寸足らずの瓦でも、ちゃんと収まる場所と役割を見いだしてきた。

”まー 今の時代、規格外は売れませんわ!”……これは建材なら納得もしよう、でも人間だったら”どうーなの”

 冒頭の”最近の瓦は捻れも少なく行儀が良くなっている、でも……”の、飲み込んでしまった答え
 ”でも……不揃いを生かす処に知恵が生まれる、癖を生かすからおもしろく、独創的なモノが出来るんだ…人間社会も同じだろう!”

  

Posted by pasarela at 19:10Comments(0)●伝統的構法に学ぶ

2016年09月22日

遠州の鬼師・鬼秀

 昨日、仕事ほったらかして、遠州鬼秀工房(鬼瓦制作)初訪問。

”てくてく太田川”(遠州を縦断して遠州灘に注ぐ太田川水系の魅力を発信している)の25日の取材に先立ち、(無理を言って)工房の窯だしを拝見させていただいた。 

 僕は編集局員に名を連ねるが、出席率1%、愛を叫ぶだけのROM…m(_ _)mスマン





 鬼秀さんは、僕の好きな顔立ちだ…前回ブログを見てね!。
 味わい深く安心感がある顔の口元はよく動き、気さくだ。

 ”こういう職人もいるんだな”
 いやいや、鬼秀さんは立川流の正当な伝承者、職人と言ったら失礼か(-_-;ウーン。

 かつて、民藝運動を起こした思想家、美学者、宗教哲学である柳宗悦は、こんなこと言っていた。
 ”世界に冠たる日本の美術品、その美術家の仕事と言うものは、職人芸の模倣に過ぎない”。


 
 ”何時か、鬼秀さんが唸るような仕事、一緒にしてみたい”と思い工房を後にした。
 
次回は、”鬼師鬼秀の嘆き=行儀の良さを求める事は理にかなっているか?”です。

  

Posted by pasarela at 14:20Comments(0)●伝統的構法に学ぶ

2016年09月19日

臭と抵抗力

 先週、荒壁を掛けた、それ以来雨や曇天で、土の乾きが悪い、かすかな腐敗臭もある。

リフォームの場合、家人が暮らす中で土を塗るので、土壁はこの腐敗臭がネックになるかもしれない点が少し不安( ̄□ ̄;)!!
…… 5~6日で臭いもなくなったようだが…


晴れて、窓前開にし、通風さえあれば、2日もれば腐敗臭も消える。







 近頃は、臭いの免疫力が弱っているように思う、だから、少しの異臭(僕にとっては土の腐敗臭は何の違和感もないが)でも苦痛を感じるのかもしれない。

 荒壁掛けた室内の光景は、お世辞にも綺麗とは言えないかもしれないが、美しいと思う。
 技を磨き、納得の行く仕事に、生きる価値を見いだしてきただろう職人の、日焼けし、シワを刻み老職人の顔のような表情には、味わい深く安心感がある。


…………と思わない方は、一回見に来てちょうだい!

  

2016年09月07日

絵になる木小舞い土壁

 安易に建材を使用して、住宅由来の産業廃棄物(ゴミ)を将来の負の遺産としないつくりかたを原則とする「時ノ寿木組みの家」のリフォーム版。

これまで、
 日本の中心から”土壁に愛”を叫び
 掛川から”土壁の家を増やそう”を叫び、
”土壁の出番”であることを叫ぶ。

叫んで見たが、それほど反響はない !(・ω・`寂)...........

でもあきらめずに叫んでみる
”リフォームを通じて土壁をふやそう”

 で今日の話題は、掛川のリフォームも終盤(2週間ほど前にも同じことを言っていた記憶があるが!)に近づき土を塗る(荒壁を掛ける)準備が出来たという話題。

 ”実は、先週、土壁塗りイベントを企画したが、参加者なしで中止 ガ━━(゚д゚;)━━ン!!
荒壁掛けも今週末に延期になった。”

 現代の家づくりでは、なかなかないお目にかかれない光景がこれだ!





youtubeにアップした木小舞+トンボの室内の光景→https://youtu.be/zvLHkTLgS6A

トンボ(ひげこ)天井や壁の亀裂、剥離防止に木小舞下地に打ち付ける:材料は麻 

 
ちなみに掛川のリフォームの仕上げは

床:杉板厚30mm(一部三和土)
壁:土壁下地漆喰磨き
天井:杉板厚12mm一部漆喰仕上げ