2017年05月14日

方丈庵と二畳庵

方丈庵と二畳庵

 「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」で始まる鴨長明の方丈記、この冒頭の一節はあまりにも有名、高校時代に古典の授業で平家物語と共に誰もが親しんだ日本の古典ですね。

しばし方丈記について思いをはせましょう。
 方丈記も後半になると、世俗を逃れ、隠遁生活の暮らしぶりと、長明が思索にくれる日々が描かれるようになり。
「方丈の住まい」の項では、60歳で方丈の庵を造り、そこでの隠遁の生活ぶりが、さらに、方丈の庵についても、内部の作りや周辺の様子が克明につづられています。

 ”その家のありさま、世の常にも似ず、広さわづかに方丈、高さは七尺が内なり、所を思ひ定めざるがゆゑに、地を占めて作らず、土居を組み…そのあらため作る事、いくばくの煩いかある、積むところわずかに二両…」”

 ”庵の広さはたった一丈四方( 1間半四方=4畳半程度)で高さが七尺(2.1mぐらい)、何処と言って建てる場所を決めたものでないので、地ごしらえがしてない、地べたに四本の丸太を横たえて、その四隅に柱を建てる。…移築するのは簡単だ、車に積んでたった二台…”                    訳:日本の古典を読む14 小学館

 長明は、容易に組立てが可能で、解体すると車二輌で運搬できるという画期的な庵を思いつきます、一丈(3.03m)四方の空間、土台と四隅の柱と梁を組んだ簡素な住まい、そう「方丈庵」です。


 
  さて、時代は今、21世紀に舞い戻ります、ここからが今日の本題です。


  方丈庵から避難所間仕切りを連想していただきます、かなり苦しい連想である事は理解しているつもりですが、怯むことなく続けます。

 皆さん避難所生活をイメージした事があるでしょうか、災害時の避難所生活はストレス一杯、大規模災害で避難生活が長引きば、さらにストレスは増大しますね、特に、多くの人々が同居している状態で四六時中他者の視線にさらされるというプライバシーの無さは耐えられない環境だと思いませんか。

 紙の建築で有名な彼の坂氏は、紙菅の間仕切りスクリーンを開発し、避難所生活の質の向上に貢献し喜ばれています、最近では段ボールの間仕切りや、アルミフレーム(軽量で丈夫)も開発されています。

画像出典 避難所用間仕切りシステム 岩手県 大槌高校 
坂茂建築設計+ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク


 その避難所間仕切りです。

 実は「掛川の風景を創る会」では木製の避難所間仕切りを開発?しました、開発とは大げさな表現ですが、伝統的な建築の技術と工法を使って、容易に組み立てが可能で、解体すれば軽トラ1台で運搬可能な避難所用間仕切りです。

方丈記風に表現すると
 ”避難所庵の広さたった一間四方(二畳)で高さが六尺(約1.8mぐらい)、何処と言って建てる場所を決める必要がないので、地ごしらえの必要なし、四隅に四本の柱を立て、梁を渡らせる、……移動や解体は簡単だ軽トラに積んでたった1両……”


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  さらに普段は倉庫に眠らせて置くだけでなく、木のジャングルジムとして遊べる優れものです…。



避難所の一角に、木のジャングルジムが……ジャングルジムで遊ぶ子ども達の喚声は避難所生活を和ませます。
 必要に迫られれば、ジャングルジムを解体し9室の部屋が出現します。
 
 一家に一台と申しません、一避難所に2台どうでしょうか。