2018年10月29日

古典芸能に親しんだ神無月

 古典芸能には歌、日本舞踊、演劇、音曲、演芸、工芸、芸道の七つの分類されるらしい、神無月(10月)に親しんだ古典芸能は、演劇のカテゴリーに属する能(能楽)と人形浄瑠璃、TV等では目にするが、普段の暮らしでは、親しむことはないだけに新鮮だった。

 もちろん能楽も人形浄瑠璃もしかるべき舞台であったり、仮名手本忠臣蔵のような高名な出し物ではないが、心地よく感じたのは、初心者にとっては、程良く脳のストレスを弛緩させる時間を得ることができたからかもしれない。


 能楽:シテ方 宝生流能楽師 辰巳孝也 辰巳大二郎



 人形浄瑠璃 山梨県無形民族文化財「笹子追分人形」笹子追分人形の保存会 
  

Posted by pasarela at 20:51Comments(0)●徒然に思う

2018年10月27日

EXP-Jで繋ぐ安全

 EXP-J(エキスパンションジョイント)とは伸び縮みする継ぎ手のこと、建物の規模が大きかったり、複雑な形態などの場合、隙間を挟んで複数の建物に分けて設計するのが一般的です。

 建物を分割する理由は、シンプルな形態、扱いやすい大きさにして、地震や地盤沈下などによる建物への不規則で想定外のダメージを抑えることを目的としています。

 だから住宅の場合は馴染みが薄い。

 我々の増築に対するクライテリア(設計原則)は、よほど小さい(10m2以下)の場合以外は、EXP-Jを介して設計します。

 
 下図は現在工事中の住宅の既存と増築の取り合い部分、隙間は地震時などに互いの建物の水平変形量が最大時にあってもぶつからないように想定しています。

 


既存外壁の立ち上がりは増築の屋根とは繋がっていない。


 今回の増築は、減築部分に増築したので不同沈下は想定せず基礎は一体で施工した。


  

Posted by pasarela at 11:42Comments(0)Y邸耐震補強増築

2018年10月23日

秋の暮れに掛川城まつり

 祭りの季節も過ぎ秋もそろそろ終盤、10月~11月に掛けての立冬前の過ごしやすい秋を惜しんで「秋の暮れ」と呼んでいたそうです。

 その「秋の暮れ」の11月3日に本丸広場にて掛川城まつりが開催されます、当日は掛川商工祭が街中にて開催されます、そちらと合わせて立ち寄ってください。

 今年の掛川城まつりは忍者をメーンテーマに忍者扮装体験等盛りだくさん体験ができるようです。




 そしてかけがわNPO村主催の「広場スペシャルイベント」、掛川城トランポリン広場も同時開催です。

 忍者に扮したパフォーマーによるトランポリンパフォーマンスや参加自由のトランポリン体験、掛川城まつりクイズ大会、バルーンアート、そして我々掛川の風景を創る会の木のジャングルジムで遊ぼう。




……などなど楽しい広場でまってるよ。
  

2018年10月21日

人と住まいの幸せな関係」その一

 ここ数年”ボチボチ始める家づくり学校”と称して「人と住まいの幸せな関係」についての勉強会を開催してきました。
 第6回”ボチボチ始める家づくり学校”のテーマは「資産になる家をつくろう」です。

 家づくりは、建築主・施工者(各職方)・設計者のチーム力を発揮してつくり上げることが基本です、チームの各人が”仕事に対等且つフェアであり、互いに信頼し、同じ目標を目めざし、成果を分かち合う”という意識がなければ「人と住まいの幸せな関係」=「資産になる家」はつくれないと思っています。

 住宅の一生は、計画・設計→施工→運用(暮らし)→改修→寿命(解体)或いは改修して使い続ける→計画のサイクルをたどりますが、計画・設計を担う設計者の役割は重大で、建築主の要望やイメージを具体的な形に提示しつつ、同時に予算を勘案して構造、安全性、快適性などを組み込む作業なだけに「質の高い住まい」をつくる要と言っていいでしょう。

 私たちが提案する、「資産になる家」の設計原則は以下の通りです。

”普遍的なデザイン”
”環境負荷の低い構法でつくる”
”触れる・身近な材料(自然素材)でつくる”
”十分は性能を組み込む”
”原価率が高い”
       の5つです。

 第6回”ボチボチ始める家づくり学校”のテーマは「質の高い住まいをつくろう」では、この5原則についての話が中心となります。

 又、地域型住宅グリーン事業など魅力的な補助金制度の紹介、「人と住まいの幸せな関係」をつくる資金計画も合わせて行いたいと思います。







日時 2018年11月25日(日) 13:00~13:30 
場所 20世紀の丘公園(たまりーな)
募集   5家族・個人   参加費 1,000円/一家族・個人 /Coffee付
参加申込み 掛川の風景をつくる会  清水建築工房一級建築士事務所(清水)
     TEL/fax 0537-27-0576 携帯 090-6070-1091
    e-mail info@shimizu-arc.jp
     掛川の風景をつくる会FBページ より

□当日スケジュール
13:00~13:45 「資産になる家をつくろう」
13:45~14:00   休息   
14:00~14:15 地域型住宅グリーン事業などの補助金・助成金制度説明
14:15~14:30   休息
14:30~15:15 「人と住まいの幸せな関係」をつくる資金計画

   

2018年10月15日

露柱氷梁雪桁雨垂木露葺草

本日建前、8坪ほどの小さな増築だ。

 地震に対する不安があり、耐震診断の依頼があったのが昨年の7月、依頼主は共に70歳を超えており、築49年の木造住宅は補強を拒むに十分な状況であったので、減築+最小限増築+既存耐震補強を選択し、1年以上を経て今日を迎えた。




金輪継ぎ手の栓を打ち込む

追っ掛け大栓の栓を打ち込む

「霜柱氷の梁に雪の桁、雨の垂木に露の葺き草」とは、火伏せ(防火)のおまじない、民間伝承なので、全国各地に同様な歌が伝わっていたらしい。


 例えば、寒明けの9日目に降った雨水を屋根にかけることで火よけのまじないとした地域もあったそうだ。

 この民間伝承が火除けのまじないとして上棟の棟札となり、大工の間で細々と伝わり今に至って、今日のように棟木に書いて上棟する儀式も希になっている。

 昔は火事に悩まされたので、秋葉神社や愛宕山のお札の代わりにしたのかもしれない。

 無事上棟終了。
  

2018年10月14日

木造の弱点を補う技  

 木造住宅は木を組み建ててつくる、垂直に立てる柱と、柱を横に串刺しにする横架材と呼ばれる土台、梁、桁、差し鴨居、貫がそれぞれ士口(接合部)で緊結される。この木組みの構造は3つの弱点を抱えていた。

 第一に、有機質の木であるがゆえに、士口の耐力が小さい(RC造やS造に比べた)こと、第二に横架材はどこかで繋がなければならず、強度が低下すること、第三に、腐ること、腐ると木材の耐久性が悪化して耐力が低下する。

第一の課題は、士口の数を頼みにすれば、木材同士のめり込みにより、粘り強く安定した構造体となるをみいだし、
第二の課題は、割継ぎという継ぎ手を編み出して、木材の継ぎ手の弱点を補強した。

金輪継ぎ手
追掛け大栓継ぎ手

 「木構造の基本構成図」からも接合部の大切さが良くわかるだろう。

     ヤマベの木構造  山辺豊彦  エクスナレッジムック




下記に継ぎ手の実験による荷重変形曲線と引張り耐力を示す。
図はいずれも、いずれも「大工塾」加力実験ノートより抜粋


図1)追っかけ大栓継ぎ手
  引張り耐力が最も高い、外周部の梁は地震時に大きな引張り力が発生するのでこの継ぎ手が理想。


図2)金輪継ぎ手
  破壊形状は母材の剪断破壊と栓(15mm角)ののめり込み破壊の2種類の破壊形状がある、上の荷重変形曲線が母材の破壊による、下が栓の破壊によるもの。


図3)鎌継ぎ手
  プレカットの継ぎ手はほとんどこの継ぎ手、金物の補強が前提となる継ぎ手。


  

2018年10月05日

墨付け・王者の術  

我々がつくる木造建築は、仕口や継ぎ手の加工に”手刻み”を推奨しています、でも、手刻みが、大工の伝統的な技だから残したいと云ういう情緒的な感情論や、建築を造る過程の差別化を目論んで”手刻みを”推奨しているのではありません。

 大工の手刻みは、当然ですが材木に付けられた”墨(印や記号)”を目印にして刻んでいきますが、その”墨”は単なる目印で、たかが”墨”と思わないでほしい。

 なぜなら墨付けは大工(おおたくみ)の術だからだ。


日本の木造建築は、材料に墨付けして、それを刻み、組み立てる、ユークリッド幾何学を生み出したギリシャの精神をみれば明らかのように、この一連の行為は幾何学的思考が必要です。

 さらに、「あらかじめ木材を刻んでおいて、組み立てる。」という方法は、幾何学的アプローチの他に、かなり高度な構想力が要求さる。


王者の術
 実際、”プラトンやアリストテレスは、建築(アーキテクト)を王者の術と呼び、あらゆる技術の上位にあるものとした。”と云われています。
 
 「だから”墨付け”は、単にノコギリで伐ったり、鑿で削ったりする個々の単純な作業とは質的に異なっている。
 それは一つの構想にもとづいて、個々の作業を組み込んでいく大工(おおたくみ)の技であり、アリストテレスの云う棟梁としての術である。…」
              木の文明の成立(上) 川添登  日本放送出版協会 
    
 日本書紀の雄略朝に闘鶏御田や猪名部真根という大工(おおたくみ)が登場する、彼らは民衆からその超人的な術を賞賛され、大王雄略はそれに嫉妬し殺害を企てたとある。

 "墨付け"は、王者の術を体現する術なのだ。