2016年12月02日

18時間後16.5℃

 今回のブログは長文となります。
 温熱測定の目的は、既存改修(改修の大きな目的の一つが断熱性能の強化+日射遮蔽)による温熱環境の改善の効果を確認すること。
 住んでみればそれは実感できる、すまい手の反応を見れば一目瞭然ではあるが、それでは泥縄すぎるし、手法のストックも期待できない。
で、以下の目的で、改修したくつろぎの間(居間+食堂+キッチン)と北居室(既存食堂+キッチン)の温湿度を実測した。

①暖房停止後の温度変化を確認すること。
②外気の変化に伴う室温の変化を確認すること。
③床・壁・天井の土壁表面温度と体感。
               
 ③の目的は、人体にとってエアコン環境(空気を暖め・冷やす)より、蓄熱と輻射による温熱環境の方が、よりふさわしいと考えている我々としては、この実測を床・壁・天井の表面温度との関係から検証出来ればと言う思い出実施した。

■調査概要
□日時 2016年11月24日 0時~11月25日 12時
□断熱性能
 ・住まい全体(*1)Ua値2.6→0.95、*2)ηca値7.0→1.8、*3)ηha値8.4→3.2)
 ・くつろぎの間(Ua値1.95→0.68 ηca値2.6→1.4、ηha値2.7→2.2)
・北居室(旧台所兼食堂)(Ua値1.66→1.28、ηca値2.4→2.0、ηha値2.8→2.6)
  ・くつろぎの間(暖房室)・北居室(無断防室)、外気温と相対湿度測定 
  上記3カ所で、30分感覚で気温と湿度を記録
□両日の外気温に最低と最高
     最低気温24日(2.8℃)・25日(4℃)最高気温24日(17.1℃)・25日(16.8℃)

■暖房停止後の温度変化を確認する。
 暖房停止後の6・12・18時間経過後の室温変化をトレースしたのが表(1)。

18時間後16.5℃(表1)

 前日の午後11時20分に暖房停止し就寝、朝、活動を始める6時の室温は17.9℃(17.2℃)、12時間後の正午の室温は16.2℃(16℃)18時間後は16.5℃(16.7℃)と16℃をしたまわらない結果となった。

 ”くつろぎの間に入ったとき、暖房しているのかと思った”、暖房していたのではなく、前日の暖気が残っていたことによる住まいお手の勘違い、しかし外気4.4℃の環境下としては良い数字だと思う

18時間後16.5℃

 その後12時間・18時間と16℃以上をキープ、この間、開口部の障子は閉めっぱなしで太陽光を室内に取り入れていない、両日とも晴れで、正午過ぎ最高気温17.1℃(16.6℃)に達している、もし太陽光を十分に取り入れていれば、18℃程度になっていたはずだ、
(ちなみに南面開口率50.4%)一方、北の居室は、11℃~12℃で推移している。

■考察
 朝6:00~6:30時点で「くつろぎの間」では、外気温4.4~4.5度に対して、室温17.9~17.6度と13度ほどの温度差があり、18時間後も16度を下まわらない結果は体調管理にとって有益となる。
 また、北居室(かつての台所兼食堂)とくつろぎの間の温度差は最低3.9℃、この温度差の暖房負荷は、くつろぎの間(面積38.07m2)414Wに対して北居室(18.75m2)、面積2倍強にも関わらず611.7w少ない。
 毎日5時間の暖房をして、一ヶ月使用する二次エネルギーは、灯油換算9.2リットル、電力では34.9Kwhとなる。
 一見、費用効果の点で低く感じるが、”寒くて暑い台所兼食堂”から解放され、団欒の場の復活、健康不安の低減の観点など総合的に見れば+と考えられるのではないか。
 費用対効果についても②の考察する予定。

*1) Ua値:外皮(床・外壁・屋根・天井)の平均熱貫流率(W/m2・k)
熱の伝わる速度、早いと冷暖房負荷が大きくなる。
*2)ηca値:冷房機の外皮平均日射取得率(%)
    日射の侵入は冷房負荷が増大するので減らす事が省エネに繋がる。
*3) ηha値:暖房期の外皮平均日射取得率(%))
  日射の侵入は暖房負荷を減らすので省エネ上有利になる。

②及び③は次回のブログで。



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