2020年11月06日

敷地の環境を活かす自立循環型住宅という取り組み

敷地の環境を活かす自立循環型住宅という取り組み  

 トランプ大統領は地球の気候変動は陰謀だとしてパリ協定から離脱しました、気候変動による温暖化の兆しは明らかで、エネルギーの削減は緊喫の解題ですね。
 
 日本の建築物のエネルギー削減の取り組みは、ヨーロッパに比べれば亀の歩み、2019年に改正建築物省エネ法改正され、住宅も2021年の4月から省エネ基準適合の努力義務+説明義務が施行されます、その対応で建築士は結構騒がしい中にいます。
 
 一時期、敷地の自然環境(自然エネルギー)を住まいに取り込む手法である自立循環型住宅が注目を浴びました、でも、相当な設計力が要求され、且つ、すぐに目を見張る結果を導き出せる設計法でなかったため下火となってしまいました。

 それでも、精度の高いシミュレーションソフトが開発され、検証と解析を通じて手法の実効性が上がり、設計に具体的に応用できる環境が整いつつあります。

 そんな中、長年、自立循環型住宅研究をしている自立循環型住宅研究フォーラム主催の第17回自立研アワードがオンラインで開催されたので参加しました。
 この自立研アワードは、様々な設計事務所による省エネ評価・ 室内温湿度の変化・実際のエネルギー消費量などが発表されるため、温熱環境・省エネ設計の大変貴重な勉強の場となっています。

 パッシブデザインという設計手法をよく耳にすると思います、そこで語られる手法である日射遮蔽、日射取得、立体通風、多面採光等は、自然エネルギーを活用した環境と共生した建築として語られていますが、実際は情緒的であり具体的な手法として実践されていたわけではありませんでした。




 実測Dateとシミュレーションソフトを使い、検証し解析し設計にフィードバックしようという試みが実践されているこの自立研の取り組みは、情緒的だったパッシブデザインを具体的で論理的な手法に高めるつつあります、今後パッシブデザインの上では欠かせない実践手法となっていくはずです。
  

2020年02月14日

エアコン必要ありません!  

エアコン必要ありません!  

”昨年の夏もエアコン必要なかったね!”
と、10年前に設計させていただいた静岡市のKさん。
 
 もちろん建設地は市内でなく山に囲まれた場所、とは言っても、住宅地として造成された住宅が立ち並ぶ一角で、10年前に比べても住宅が増えている

 K邸は住まいの真ん中を三和土の土間が、玄関から奥大戸まで貫通している、土間は2階に吹き抜けてもいて、住まいを縦に突き抜けている。
玄関から見る
見返し

 先日、久しぶりに訪れた、暮らしぶりは、この吹き抜け土間を中心に展開せれていることが良くわかる。

薪ストーブの置かれた吹き抜け土間にいると、あちこちから家族が顔を出す、冬はこの薪ストーブで1階から2階まで暮らしに支障のないだけ、十分に温めることが可能だと言う。
 さらに夏もエアコン要らずだ、玄関<と奥大戸を開けておくと、近くの山からの吹き降ろしが、風が気持ちよ駆け抜けてい行く。
 
 体感温度が寒い暑いを決めますが、体感は床や壁などの平均表面温度と室温を足して2で割った値に近いといわれている。
 深さ約1mほどの土中の年中温度は、年間10度~25度の間で変化するといわれていますが、例えば、体感を土間の影響だけとし、土間の表面温度を25度、室温を外気温と同じ32度 と仮定すると、体感温度は28.5度となる、そこに風が駆け抜けると、身体は冷やされ25~26度の体感なのだろうか。

温湿度計
非接触温度計
風速計


 そこでこの夏はdetaをとってみようと思っている、どんな結果が出るか楽しみです。
  

2019年07月29日

焼き杉動画 

焼き杉動画 


 焼き杉の制作作業風景





焼き杉制作には、火災から安全な場所(空地)と杉板は大人が一人で扱える9尺ほどの長さだとやりやすい、動画のように小雨の日を選ぶと良い、さらにできれば風の無い日を。

 その後の施工はこちら→→焼き杉外壁  

2016年11月06日

住まいリノベーションにける土間(三和土)

 江戸幕府は、職業を士・農・工・商と分類したが、農・工・商のいずれも、作業場や店は土間であった、生業(なりわい)の場としての土間である、寒冷地の東日本の農家では、冬の作業場として貴重な場となっていった。

 土間は縄文時代建の竪穴住居に由来するが、土の蓄熱性能は高く、土中に蓄熱された熱は、輻射熱として体感される。
 夏の冷輻射、冬の温輻射は、住まいの暑さと寒さを和らげる。

 だから掛川の風景がつくり会が提案する住まい、時ノ寿木組の家には、土間は快適な暮らしを支える重要な装置として勧めたい。

 言うまでもないが、赤土・砂利などに消石灰+にがりを混ぜて練り、叩き締めると、土間が出来る、3種類の材料を混ぜ合わせることから「三和土」となる。

法多山の砂利
サバ土
にがり



 掛川リノベでは、南側の縁側に相当する部分を土間(三和土)とした、理由は、冬の太陽光のダイレクトゲイン(太陽熱の蓄熱性利用)と薪ストーブの熱の蓄熱効果、どちらも温輻射を期待している。
 夏は真逆となるので、太陽光の遮蔽対策を講じた上で、通風を促して土の冷輻射効果期待。


 追伸 
 「にがり(塩化カルシウム)」は撒くと融点が下がるので、凍結を防止する効果になるそうだ。
 もちろん「にがり」は遠州沖ちゃん塩の「天然にがり」だ。
  

2015年11月10日

稲藁と発酵熱  

稲藁と発酵熱  


 発酵熱とは、微生物が有機物を分解するときに発生する熱のこと、例えば、乾燥した家畜の糞を上手に発酵させると70℃から80℃まで温度が上昇するそうです。

 H邸に昨日運び入れた稲藁、昨日の雨で少し湿っていいた藁を無造作に積んでおいたんですが、今日朝藁の内部に手を入れたところ、ポカポカ温かい、これがかの発酵熱。
稲藁

土表面温度
藁内部温度

 そこで非接触温度計を使い温度測定を試みたところ、なんと31度。

 外気温は24度、コンクリートの表面温度は21度、土の表面温度も19度、乾燥して状態で積んでおいた藁の内部温度は21度、湿った藁の内部温度は31度を記録、意外と暖かいことを実感。

 この藁は土壁の荒壁用の藁スサになる、本来なら年間を通じて荒壁土を練り合わせて置ければいいのだが、土や土場を確保出来ない以上、今のところはドロコン屋から購入する他ない。
 
  

2013年08月12日

猛暑の夜に思う

NPO法人時ノ寿の森クラブと協働した山から始まる家づくりの提案


猛暑の夜に思う    

 立秋を迎え、そろそろ秋の気配もと、ほのかな期待も、裏切られるほどの猛暑。
日が落ちてなお、むっとした暑気をまえにして、大汗と共に滴り落ちてしまいます。

  
 10日、11日は日本列島の広い範囲が太平洋高気圧に覆われ、各地で最高気温35度を超える厳しい暑さとなったが、我が家も暑い暑い2日間で、昨夜は、日中の暑い空気で室内の壁や床は暖められ、風もないでいて、熱を逃がすすべが無く、陽が落ちても暑いまま。


 いつもなら夜間の風が室内の熱を奪い去り、ひんやりとした空気に包まれるのに、全然だめ。

そこで夜8時頃、庭に内水、消灯し(省エネ的に多灯照明としているので、10Wの照明一灯でほんのり明るさ確保、全般照明は省エネに反する)、窓全開(網戸も開ける:猛暑だと蚊もでなくなる)して約1時間。
 やっといつもの穏やかで、ひんやりした空気に包まれた。


ちょっと温度を測定してみた、PM8:00時点での壁の温度は平均27.4度(測点4カ所)、天井の温度は31度。
 1時間後の壁の温度25.6度、天井は27,8度となった。
 わずか2度されど2度で、室内温熱環境は劇的に変化した。


 最近の夏は暑すぎると感じている人は多いのではないか、エネルギー問題がからむ中、夏をどう過ごすかが暮らしの質を決めるポイントになるつつあること実感。

 
 「住まいの作りは、夏を旨とすべし」

日本の夏は暑くて過ごしにくいことは先人も承知の上で、日本の住まいには、夏を気持ちよく過ごす工夫と知恵が満載だが、昨今の日本人は、異常ともえる暑さに少々バテ気味だ。


 この二日間の猛暑の室温測定を行っている、2棟とも温熱等級4の省エネ住宅で、土壁の家(Q値2.68)と土壁でない家(Q値2.67)。
 どんな結果で、どんなコメントを伺えるか楽しみだ。
  

2013年02月28日

>「冬季の温熱調査の分析結果1:考察その2 

「時ノ寿木組の家」

NPO法人時ノ寿の森クラブと協働した山から始まる家づくりの提案


「冬季の温熱調査の分析結果1:考察その2 
       快適な環境は輻射熱のコントロールにあった



 快適な温熱環境は、先の6つの要素で決まるが、一番重要な要素は輻射熱のコントロールだと最近思う。 
 輻射熱とは、いわゆる電磁波のことで、我々の廻りにある電磁波は、可視光線、紫外線、放射線などが有るが、同じく輻射熱も電磁波。

 身の回りにあるすべての物質(私たち自身も含め)は電磁波=輻射熱を放射している、私たち人体ももちろん同じで、輻射熱を放射している、夏肥満の人が近くいに来るだけでも暑く感じるは輻射熱の影響です。
 この輻射熱が支配する温熱環境は、エアコンのように空気を暖めて人体と熱のやりとりをする環境でなく、例えれば、”縁側の日向ぼっこ”のような環境ということになろうか。
 縁側に差し込む日差しは、電磁波なので空気は暖めない(空気は地面などが暖められてその熱で暖まる)、が物体は暖める(冷やす場合もある)。

 この物体を暖めるが重要で、輻射熱が放射去れ、壁などにあたると熱に変換して、壁を暖める、暖められた壁は輻射熱を放射して人体を暖める。

 ”炭火で調理される焼き鳥のように、表面温度はさほどでもないが、中はじんわり火が通る、これが輻射の原理”と前真之東京大学大学院準教授は言う。




挿絵は二つとも{エコハウスうそ」:日経BP 前 真之著より抜粋


 輻射熱がコントロールされた温熱環境は、焼き鳥と同じく、体の芯まで暖まることになる。
 
 さて、前々回のブログ、「せがいの家Ⅱの冬季の温熱調査の分析結果1」で得られた体感と室内温度との関係のズレは、この輻射にあったのだ、熱容量の大きい土壁と薪ストーブが、輻射熱による温熱環境の住まいをつくり、室内空気温度はさほど高くなくても、快適に感じる環境をつくったと考えられる。
  

2013年02月26日

せがいの家Ⅱの冬季の温熱調査の分析結果1:考察その1…感を決める6つの要素

「時ノ寿木組の家」

NPO法人時ノ寿の森クラブと協働した山から始まる家づくりの提案


せがいの家Ⅱの冬季の温熱調査の分析結果1:考察その1…感を決める6つの要素 

 前々回のブログ、「せがいの家Ⅱの冬季の温熱調査の分析結果1」で得られた体感と室内温度との関係のズレは、何に起因するかを考察する、今回はその1。

体感を決める6つの要
 我が家のこな数年の課題というか家族間の愚痴は、家の断熱性能が低くて暖房が利きにくい点にある、だから冬はリビングに家族が集まり、みんなで縮こまって暖を取っている、ので、せっかくの40坪の住まいも、使っているのはごくわずかと、もったいない状況に落ちいている。 `s(・'・;) エートォ
 
 それはさておき、私たちが、寒さ厚さを感じ取る体感は、気温、湿度、気流、輻射(放射)、着衣、活動熱の6つの要素で決まる。

 気温

湿度

通風

輻射
 

 最近は、エアコンで空気を暖めて暖を取る方法が主流だ、各室に1台という時代
 …我が家と言えば「寒い冬は一枚余計に羽織り、温かい飲み物で暖を取る、暑いときは一枚脱いで、冷たい飲み物で涼を取る。」というすこぶるエコロジカルな手法が、我が家の主流で、家族の評判は良くない( ̄□ ̄;)!!。…
 しかし*1)ジエボオンズの逆説どうり、家庭のエネルギー消費量は上がりっぱなしだ



冬季の室温測定から得られたdateの室内温度が、18℃~20.1℃と、高齢者に取っては低く、高齢者以外でも快適な温度の下限にやっと入るぐらいの温度でありながら、住まい手が快適と感じていた。

 この落差は、エアコンのように、空気を暖めて暖を取る温熱環境と、輻射熱によりコントロールされた温熱環境の違いに起因し、快適で健康的な暮らしは、輻射熱が決め手だと言うことをこのdateは示している。

 その理由は、床や壁・天井の表面温度が適度に保たれるから。

 続きは次回に。

*1)イギリスの経済学者であるS・ジエヴオンズの名を取ったこのジエヴオンズの逆説とは
「エネルギーの利用効率の向上がエネルギー消費の減少をもたらすことはなく、その逆、消費を増大させる」という経済原則。
 効率が上がれば、その財、サービスの価格が下がり、そのため需要は増大する。
  

2013年02月13日

せがいの家Ⅱの冬季の温熱調査の分析結果1

「時ノ寿木組の家」

NPO法人時ノ寿の森クラブと協働した山から始まる家づくりの提案




せがいの家Ⅱの冬季の温熱調査の分析結果1 

前回の温熱調査では実測の結果を報告した、今回は分析結果その一の報告。

温熱調査をした部屋はくつろぎの間と寝室の二部屋で概要は、
くつろぎの間:14畳、吹き抜け有り、吹き抜けに面している2階の床面積は8畳、寝室:10畳である。

 1月26日~27日の外気温の最低気温-1.9℃で27日の午前6時~7時、最高は7℃で午後1時30分~2時30分で記録、26日は午前0時から明け方の7時までマイナスで日中も上がって4.8℃という気温だった。





 くつろぎの間の室温は、住まい手が帰宅してから薪ストーブに点火後、平均18℃~20.1℃を示し、寝室は16℃~17℃で推移している。
 さて、この室温がどんな意味を持つか。


表1


 表1…室内の温熱環境の目安となる温度の一覧表を見てみると、くつろぎの間の18℃~20.1℃は快適な温熱環境かと言えば、少し微妙な数値、老人や身障者の体感ではOUTになる。
 しかし、住まい手(60歳前後)は快適な温熱環境だと感じているようだ、インタビューでも温熱に関する不満はなかった。

図1


 その理由は図1の不快指数グラフからも読みとれる、住まい手が帰宅してから就寝する時間帯ではほとんど”何も感じない”を示している。
 また一方、その不満の少なさは光熱費の低さも関連している、現在光熱費(2012年3月~2013年1月間)も集計中。

 次回まず温熱のズレについて考察する、KeyWordは輻射熱環境、ここに焦点をあてて見ると面白い結論が発見できた。
  

2013年02月06日

温熱調査

「時ノ寿木組の家」

NPO法人時ノ寿の森クラブと協働した山から始まる家づくりの提案


温熱調査  


 せがいの家Ⅱの冬季の温熱調査を行った、期間は1月6日より31日間での約一ヶ月。

せがいの家Ⅱは温熱の指標で有るQ値が2.67、μ値が0.05、土壁と三和土の土間を持ち、冬の暖房は、ダイレクトゲインによる日射熱の利用し土壁と土間に蓄熱し、夜間にゆっくりと放射して室内を暖める、もちろんそれだけでは足りないので、薪ストーブを設置した。。

 結果
 1月26日~27日に掛けての二日間にこの外気温がこの冬最低を記録した、この時最低気温が-3.3℃、最高気温が3.1℃だった。


1階くつろぎの間(居間) 見にくくてゴメンm(。・ε・。)mスイマソ-ン



 2階寝室

  
 この二日間の1階くつろぎの間(居間)と2階寝室の温湿度の最高・最低を見ると、居間の最高温度が20.1℃(27日の午後6自30分頃)、最低温度が10.3℃(27日の午前6時ころ)。

 寝室の最高温度は17.3℃(27日午後9時30頃)で最低気温が8.2℃(27日午前6時30頃)だった。
 一日の推移を見ると、日の出前に室温は最低を記録した、でも日の出を過ぎる8時になると室内には陽が射し込み温度は一気に3℃ほど上昇して13.4℃を記録した。
 その後室温は徐々に上昇し、午後4時頃には17.5℃を記録。
 家人が帰宅後、5時半頃に薪ストーブに火を入れると20℃まで上昇、その後17℃~18℃で推移する。

 2階の寝室も日の出と共に1階と同じく3℃ほど一気に室温は上昇する、夜は薪ストーブに火を入れるころ15℃ぐらいになり、就寝する9時~11時では16℃~17℃で推移するので、住まい手も証言するように、寒さを感じない寝室だ。ヽ( ̄ ̄∇ ̄ ̄)ノ ランラン♪

 これは1階のくつろぎの間(居間)と寝室が、吹き抜けをかいして一体の空間になていることが要因、温熱環境的には吹き抜けは有効な手法といえる。


 結論

実測データーや実際の光熱費と設計値を比べると、イメージでなく具体的な数値で暮らしの温熱環境を説明できるようになる。

 光熱費やCO2、エネルギーの消費量について詳細がまとまったら公表します。  続きを読む