2016年12月22日

防災の心得その一 エネルギー分散。

 阪神淡路の震災、東日本大震災、熊本地震とマグニチュード7クラス以上の地震が頻発している、9世紀と同じ、”千年に一度の巨大地震の世紀”に我々は住んでいるのだろうか?

 そこで、来る東海沖や東南海地震に備え、防災の心得その一として、家庭で使うエネルギーについて考えてみたい。

 我々が日常の生活で必要不可欠なエネルギー資源として以下がある。
・石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料資源
・ラン等の核燃料資源(”まー、核燃料は家庭で扱えないのでで除外する”)
・風や地熱、太陽光など再生可能資源    
                
 生活上は、この資源から日常的に使いやすく転換・加工したエネルギー(=電気・灯油・都市ガス・プロパンガス)と称する二次エネルギーを使う。

 さて、設計者として、エネルギーに関するスタンスは、一つの二次エネルギーに生活をゆだねるのではなく、2~3の二次エネルギーに分散させリスクの分散化を図ることが基本だと考えている。
 だからオール電化は考えられない。

 地震等の災害、エネルギー資源の枯渇、資源そのものが安全保障に関わるから、その思惑により生産制限や価格の高騰などの対策上、リスクの分散化は不可欠と考えている、防災心得に限らず、会社経営全般に通ずる心得でもあるはず。
 
 と言う事で、ここ掛川のリノベーションでは、電力(照明、家電、換気)、LPGガス+太陽熱(給湯)、薪(暖房)、通風+日射遮蔽(冷房)と分散した。

 
集熱器遠望

集熱器

蓄熱ユニット:夏(7月~9月)のガス使用料は基本料金だけですむ(設置した顧客からの情報)


台所リモコン:ガスを使わず太陽熱を利用して給湯している状態。

浴室リモコン:ガス0が表示されている。

薪ストーブ(まだ設置されていないので、知り合いのお宅の薪ストーブ画像を拝借)

 給湯の太陽熱利用給湯システムは、高い熱効率の集熱器で集熱したお湯を、家中の給湯に利用する、太陽熱温水器のハイテク版、太陽熱温水器のように水を循環させないので構造的にも有利になる。
  

2016年12月08日

山から始まる家づくり 時ノ寿の森伐採体験+時ノ寿の森の駅ストーブ体感ツアー」

 2016年もソロソロと幕を閉じようとしています、みなさまお変わりありませんか。
 12月のこの頃は大雪(二十四節気)、盛んに雪が降り始める時期として、生き物たちが息を潜める冬なのに、日中は20℃を超える気温、季節感がないこの頃です。

「掛川の風景をつくる会」も3年目を迎え、少し活動を活発化させてきました。
 時ノ寿の森で開催された「2016年 秋の県民大作戦:森が育む生きる力 丸ごと体験 in時ノ寿の森」や「国際交流フェステイバルin2016」にかけがわNPO村の一員として参加して、我々の活動をアピールする機会をつくれたことは収穫でした。


 
 ”来年の話をすると鬼が笑”うと言う諺がありますが、来年の1月15日(日)
 「掛川の風景をつくる会」と「NPO法人時ノ寿の森クラブ」が共催で開催する第一回目のイベント= 
「山から始まる家づくり 時ノ寿の森伐採体験+時ノ寿の森の駅ストーブ体感ツアー」
のご案内です。


時ノ寿の森の駅
時ノ寿の森
森の駅 薪ストーブ


 「県民大作戦の時と違い、参加者が、木の伐採に直接参加すると言う事ではありませんが、樵の迫力ある伐採風景(場合により体験できるかも)をごらんいただきます。
 その後、時ノ寿の森の駅に移動して、薪ストーブで冷えた体を暖めながら、昼食と森や里山、木の話をワイワイガヤガヤしましょうよ、と言うツアーです。
  午前10:00~午後2:00、1000円/家族です、ちなみに暖かい豚汁つきます。

新年のお忙しい時とは思いますが、ご参加いただければ幸いです.。

追伸 このツアーは全6回の初回です、以降、「丸太市!」・「土のかまどづくり」「竹小舞い+土壁塗り体験会」「街角トランポリン」など多彩な体験ツアーを考えています、ご期待ください。
  

2016年12月02日

18時間後16.5℃

 今回のブログは長文となります。
 温熱測定の目的は、既存改修(改修の大きな目的の一つが断熱性能の強化+日射遮蔽)による温熱環境の改善の効果を確認すること。
 住んでみればそれは実感できる、すまい手の反応を見れば一目瞭然ではあるが、それでは泥縄すぎるし、手法のストックも期待できない。
で、以下の目的で、改修したくつろぎの間(居間+食堂+キッチン)と北居室(既存食堂+キッチン)の温湿度を実測した。

①暖房停止後の温度変化を確認すること。
②外気の変化に伴う室温の変化を確認すること。
③床・壁・天井の土壁表面温度と体感。
               
 ③の目的は、人体にとってエアコン環境(空気を暖め・冷やす)より、蓄熱と輻射による温熱環境の方が、よりふさわしいと考えている我々としては、この実測を床・壁・天井の表面温度との関係から検証出来ればと言う思い出実施した。

■調査概要
□日時 2016年11月24日 0時~11月25日 12時
□断熱性能
 ・住まい全体(*1)Ua値2.6→0.95、*2)ηca値7.0→1.8、*3)ηha値8.4→3.2)
 ・くつろぎの間(Ua値1.95→0.68 ηca値2.6→1.4、ηha値2.7→2.2)
・北居室(旧台所兼食堂)(Ua値1.66→1.28、ηca値2.4→2.0、ηha値2.8→2.6)
  ・くつろぎの間(暖房室)・北居室(無断防室)、外気温と相対湿度測定 
  上記3カ所で、30分感覚で気温と湿度を記録
□両日の外気温に最低と最高
     最低気温24日(2.8℃)・25日(4℃)最高気温24日(17.1℃)・25日(16.8℃)

■暖房停止後の温度変化を確認する。
 暖房停止後の6・12・18時間経過後の室温変化をトレースしたのが表(1)。

(表1)

 前日の午後11時20分に暖房停止し就寝、朝、活動を始める6時の室温は17.9℃(17.2℃)、12時間後の正午の室温は16.2℃(16℃)18時間後は16.5℃(16.7℃)と16℃をしたまわらない結果となった。

 ”くつろぎの間に入ったとき、暖房しているのかと思った”、暖房していたのではなく、前日の暖気が残っていたことによる住まいお手の勘違い、しかし外気4.4℃の環境下としては良い数字だと思う



 その後12時間・18時間と16℃以上をキープ、この間、開口部の障子は閉めっぱなしで太陽光を室内に取り入れていない、両日とも晴れで、正午過ぎ最高気温17.1℃(16.6℃)に達している、もし太陽光を十分に取り入れていれば、18℃程度になっていたはずだ、
(ちなみに南面開口率50.4%)一方、北の居室は、11℃~12℃で推移している。

■考察
 朝6:00~6:30時点で「くつろぎの間」では、外気温4.4~4.5度に対して、室温17.9~17.6度と13度ほどの温度差があり、18時間後も16度を下まわらない結果は体調管理にとって有益となる。
 また、北居室(かつての台所兼食堂)とくつろぎの間の温度差は最低3.9℃、この温度差の暖房負荷は、くつろぎの間(面積38.07m2)414Wに対して北居室(18.75m2)、面積2倍強にも関わらず611.7w少ない。
 毎日5時間の暖房をして、一ヶ月使用する二次エネルギーは、灯油換算9.2リットル、電力では34.9Kwhとなる。
 一見、費用効果の点で低く感じるが、”寒くて暑い台所兼食堂”から解放され、団欒の場の復活、健康不安の低減の観点など総合的に見れば+と考えられるのではないか。
 費用対効果についても②の考察する予定。

*1) Ua値:外皮(床・外壁・屋根・天井)の平均熱貫流率(W/m2・k)
熱の伝わる速度、早いと冷暖房負荷が大きくなる。
*2)ηca値:冷房機の外皮平均日射取得率(%)
    日射の侵入は冷房負荷が増大するので減らす事が省エネに繋がる。
*3) ηha値:暖房期の外皮平均日射取得率(%))
  日射の侵入は暖房負荷を減らすので省エネ上有利になる。

②及び③は次回のブログで。