2016年03月19日

原発ADR

 昨夜、御前崎市で開催された「原発事故による損害賠償問題を知る」勉強会に参加した。
「福島で何が起き、何が賠償されたのか」の副題がつく勉強会で、原発の賠償問題の支援活動に取り組む弁護士がお話をされた。




 原発ADR(原子力損害賠償紛争解決センター)は新聞紙上でよく目にする組織名だが、原子力損害の賠償に関する法律で位置づけられ、事故で被った被害における紛争解決機関で、主に金銭的な解決を図る公的な組織だ。

 東京電力福島第一原発が地震と津波で3号機が水素爆発、2号機が空だき、炉心溶融を起こすなか、福島第一から20km圏内が避難指示区域にその後、浪江や飯舘も計画的避難区域として避難を余儀なくされた、あれから5年経つが、今なお83.900人(福島民友ホームページから引用)が帰還できていない。

 被害者の救済に「中間指針」が大きな役割を演じている、「中間指針」とは、原発事故のように広範囲で複雑な被害をもたらす事故においては、その賠償が当初取り決めたルールに合わない場合が発生することを想定して、現実的に発生する損害に対して、実情に合わせその都度、賠償のルールを示す取り決め。
 福島ではH23年8月5日に最初の中間指針が示され、以降追補、二次追補と合計4回の追補が示され、その内容に沿って東電による損害賠償が進められた。

 一方では「中間指針」が示すルールが賠償の最低基準でしかないことは、その運用において、「この基準を理由として個々の賠償の水準を最低限のものとする」あるいは「その向上は図りがたい」という意識を作り出す意図があるのではないかと邪推してしまう.。

 具体的な賠償としては、日常阻害慰謝料、営業損害、就労不能損害、住居確保損害、長期間期間不能に伴う慰謝料、風評被害による損害、不動産賠償などなどあるが、賠償が一律だったり、東電が示す定型でしか賠償が認められない、あるいは自主避難は対象外だったりと、賠償内容を受け入れられない場合は、原発ADRに申し立てをすることになる。

 原発ADRは被害者の立場をおもんばかった対応がなされる、例えば申し立て費用不要、厳格な立証を求めない、手続きが簡易などだが、一方東電は示された和解案をできるだけ尊重する義務を負っているにすぎない点に原発ADRの限界が見える。

 原発の再稼働を推進しようとする電力会社は原発事故の甚大さを深刻に受け止め、ことと次第によっては会社そのものがなくなってしまうほどの覚悟を持つという意味で、最低
原発ADRの和解案の受け入れは義務化すべきだと思う。

ちなみに僕の原発に対するたち位置は、再稼働反対・脱原発です。

勉強会の主催 NPO法人御前崎災害支援ネットワーク  
  http://omaezaki-ds.net/
  

Posted by pasarela at 17:10Comments(0)防災への取り組み