2021年01月30日

省エネの流れを分かり易く…結露は不健康の証! 

省エネの流れを分かり易く…結露は不健康の証! 
 
クニオ
”久しぶり、元気してました?”
ヨシコ
”ずっとステーホーム、土日も、でも我が家は薪ストーブ+土壁だから身体も心も暖かよ!”
クニオ
”おおーそうですか、薪ストーブの炎の揺らぎは「1/fゆらぎ」と言って快感や快適さを与えてくれといわれていると聞きます。”
ヨシコ
”ホームステーも今のところ快適、昔のように結露も無いし”
クニオ
”結露の発生は住まいが不健康な状態と言えるね!”

ヨシコ
”結露と云えば、カビよカビ!すごく不快だった”
クニオ
”確かにカビはアレルギーや喘息の要因だし、運悪くカビ毒を体に吸い込むと感染症や真菌症(*1)を引き起こすと言われているね。”
ヨシコ
”そうそう!、それからダニの繁殖も想定しないといけないわよ!”
クニオ
”僕は花粉症だけど、杉や檜の他にハウスダストにも反応するんだ、ハウスダストにはダニの死骸やダニの糞も多いと言われているしね”

ヨシコ
でもカビは建物に悪い影響を与えるの?”
クニオ
”カビは木材主要構成成分のセルロースやリグニンなどを分解する能力に掛けるので住まいに大きな劣化を引き起こすことはないけど”
”一方、結露で木材が半年以上にわたり湿潤状態(含水率25%以上)が続くと木材腐朽菌が発生し、放置すると深刻な劣化=腐食を引き起こすことになるね”


ヨシコ
”カビと腐朽菌はどう違うの?”
クニオ
”あまり詳しくないけど、カビは腐朽菌ではないが腐朽菌をカビと呼んでも差し支えないと言われています”
ヨシコ
”親戚みたいなものか!”
”結露は木材を腐食させたりして、住まいを不健康な状態にするし、カビやダニを繁殖させて住まい手にも不健康な環境をつくりだすのね。”
クニオ
”そういうこと!”
ヨシコ
”ジャー、結露が発生するメカニズムを教えてくださいな”
クニオ
”了解!では次回にやりましょう”


*1)真菌症 Wikipediaより
真菌による感染症。真菌は他の微生物に比して病原性が弱く,健康体に感染症を起すことはまれであるが,癌,白血病,糖尿病などのような慢性消耗性疾患に続発したり,菌交代症として現れることが多い。

  

Posted by pasarela at 12:22Comments(0)省エネを分かり易く

2021年01月20日

地震対策にコア構造を採用?先建の知恵

地震対策にコア構造を採用?先建の知恵  

「松ヶ岡」工事見学会続き
「松ヶ岡」の主屋は、1854年(安政元年)に発生した安政東海地震(南海トラフ巨大地震)の後、地震の記憶も新しい中に建設が始まったので、建設にあたり幾つかの工夫がされていたので紹介したい。

耐震の工夫

”コア構造かも!”と改修工事を担当している京都伝統建築技術協会の担当者。

 平面図(図1)を見てみると、①〜⑥までの6本の柱で囲まれた日型の部分があります。



 近代建築の構造計画の手法の一つにコア構造がありますが、それと同じ構造観に立ち、6本の柱と横架材で組んで頑強に骨組みを固める、この骨組みを地震力を負担するコアとして活用しようと考えたのではないかとの推察。

 近代建築のコア構造は、エレベーターや階段,機械室,便所などを集合したエリアを建物のコア(核)とし,これを耐震壁として活用する建築構造手法です。

 「松ヶ岡」の場合は壁のない和室だから建築建築の構造コアとは一味違うが、耐震性を高めようというアプローチは同じように思う。

処で、富山県に「枠の内」という優れた伝統構法がある、石場にい置かれた6本の通柱とその柱を脚部から足固め、差し鴨居、頭貫で繋ぎ頑強な骨組み、住まいの平面計画の核(コア)として他の諸室を加えていく構法だ。

出典 日本列島・伝統構法の旅 松井郁夫氏

 「枠の内」を通して「松ヶ岡」を視ると、「松ヶ岡」のコア(?)は「枠の内」に比べ横架材の縫い方が甘いと感じる。
 柱はすべて通柱で石場に置かれ、脚部を足固めで固めてはいるが、一部は貫で代用され、差し鴨居も半分だけと少々心もとないと思ったりする。

 あるいは、①と⑥の柱の位置が三尺ずれているのはなぜだだろう、浅学な僕なら①と⑥の柱を三尺、左に移した位置でコアを組むんだけどと思ったりする、きっと先建の計り知れない知恵がそうさせたのだろう、今後の工事の進捗が楽しみだ。

 来る1月23日(土曜日)に一般現場見学会を開催するのでご興味ある方はどうぞ。。
  

2021年01月16日

吸い付け残はシャドーワーク・松ヶ岡で思う

吸い付け残はシャドーワーク・松ヶ岡で思う。

「松ヶ岡」とは掛川の発展に尽力した偉人(山﨑氏)の邸宅の通称だ、掛川市民が彼らの業績に敬意を表し、親しみを込めて「松ヶ岡」と呼ぶ。
 「松ヶ岡」は国の重要文化財指定に向けて保存工事中、昨日現場見学会が開催された。

「松ヶ岡」の主屋は安政3年(1856年)に建設され、その後何回となく増改築が繰り返されて現在に至っている。

 
 
 主屋の北側に、後に増築された風呂・便所棟がある、ここの屋根の工夫が秀逸なので、まずはここからお話を始めたいと思う。

 さて何が秀逸かというと、野地板の反り止めだ。

 風呂は当然のことであるが湯気によって天井裏も湿度が高くなる、そうすると野地板の天井内面は外気側面より膨張するので外気側に反る。
 屋根材の下地である野地板が反れば、屋根材のどこかにひずみを生じて雨漏りに発展する可能性がある、当主も大工もこれまで随分と頭を痛めて来たことだろう。

 そこで大工達の行った工夫はこうだ。

野地板が反らないように野地板に吸い付き桟を施した、吸い付け桟は板の反り防止で施す加工で、それ自体は驚くほどのことでもないが、野地板の外気側のこの工夫は屋根を施工すれば一生日のみを見ることはない。

 文化財としての修復工事だからこそ、この工夫は日の目をみを見たことになる。
現代なら透湿抵抗の高い材料で湯気を遮断して終わり、なんとも味気ない行為だと嘆息を漏らさざるを得ない。
 
 以前シャドーワークが日本製品の高品質化に大いに貢献していると述べたことがあるが、吸い付け桟も木の特性に従ったシャドーワークにあたる、そのひと手間、ふた手間が「松ヶ岡」の質の向上と長寿命化に役立っていることは明らかだ。

 誇り高い現代人にとっても見習うべき事例と思う。
  

Posted by pasarela at 16:34Comments(0)●伝統的構法に学ぶ

2021年01月13日

省エネの流れを分かり易く…地域で変わる基準値  

省エネの流れを分かり易く…地域で変わる基準値  

クニオ
”ヨシコさん、日本は、北海道から沖縄までそれぞれ特有の気候風土を有しているよね。”
ヨシコ
”日本って東西南北に長いから、天気予報を見ていても随分と違うなと思うけど、それが何か?”
クニオ
”いやだから、省エネ基準も全国一律でなく、気候に合わせて地域を区分分けをしてるんだと言いたかったのさ。”
ヨシコ
”というと”
クニオ
”地域区分に合わせて基準値を設定しているんだ。”
ヨシコ
”そうなんだ、じゃーここ静岡はどの区分なの!”


クニオ
”地域区分は寒冷地の北海道から温暖地の沖縄間を暖房度日を参考によって8つの地域に分けていて、静岡は5〜7地域に区分されているんだ。”
”少し寒い御殿場は5地域、僕らの住む遠州地域は6地域、伊豆や御前崎市などは7地域ですね。”
ヨシコ
”へ―、で地域が違うと何が違うの?”
クニオ
”え―と、外皮性能基準の外皮平均熱還流率と冷房期の平均日射熱取得率の基準値が異なります。”
”外皮とは住まいの屋根や外壁、開口部のこと、屋根や外壁から逃げていく熱の合計を外皮の面積で割った値を外皮平均熱還流率UA値(w/k・m2)と言います。


ヨシコ
”……”
クニオ
”平均日射熱取得率ηAC値(%)とは、外皮の屋根や外壁、開口部から侵入する日射の合計を外皮面積で割った値で、外皮の断熱性能が高ければ、逃げる熱を少なくし侵入する日射を減らして安定した室内の温熱環境を実現させることが可能となり、ひいては「省エネになる」と言うことですね。”
ヨシコ
”各地の気候に応じて対処しようと云うことは理解できたけど、でも日本の場合、断熱性を向上させても冷暖房の一次エネルギーを減らすことに繋がらないという話でなかったかな。”
クニオ

”確かに諸外国のように一次エネルギーの削減にはあまり貢献しないけど、住まい手と住まいの健康には大いに役立つからメリットは高いと思うよ。”
ヨシコ
”人と建物、その両者の健康増進にためには不可欠ってことですね、でも今日はこの辺でお開きにしましょう。”
クニオ
”   ”
  

Posted by pasarela at 11:38Comments(0)省エネを分かり易く

2021年01月11日

省エネの流れを分かり易く…一次エネルギーって何?

省エネの流れを分かり易く…一次エネルギーって何?  

ヨシコ
”昨日(1月10日)秋葉山に初詣に行ってきたんだけど寒かったー!”
クニオ
”この冬一番の寒波が続いているからね。”
ヨシコ
”お昼ごろでもマイナス2℃だったの、社務所は暖を求めて参拝客でいっぱい、暖房費も馬鹿にならないわね!”
クニオ
”確か暖房は灯油ストーブだったけ?”
ヨシコ
”そう、灯油ストーブだったわ!”
クニオ
”処で、エネルギーの話に変わるんだけど。
 灯油は二次エネルギーと呼ばれるんだ、一次エネルギーを転換・加工したエネルギーのことで、灯油の他にプロパンガスや電力、ガソリンがそうなんだ。”
ヨシコ
”フーン!、それって私たちが日常的に使ている燃料のことね。”
クニオ
”そう、で、転換・加工する前のエネルギーを一次エネルギ=化石燃料と呼び、石油、石炭、天然ガスがそうです。”
ヨシコ
”そうなんだ、でも、省エネっていうんだったら、この日常的に使っている燃料(二次エネルギー)を減らすわけでしょう、なぜ一次エネルギーが指標になるの?”
クニオ
”えーと、例えば灯油やガスを燃やせば1のエネルギーで1の熱を得ることができる、けど、電力はコンセントから1の熱を得るためには2.7のエネルギーを投入しないといけなんだ。”


ヨシコ
”どういうこと?”
クニオ
”下図を見てください、電力は発電所でつくられるけど、熱ロスや送電ロスによって発電効率は38%なんだ、発電所で100のエネルギーを投入しても家庭で得られる電力としてのエネルギーは38ということです。”

出典 省エネ・エコ住宅設計マニュアル 野池政宏 (株)エクスナレッジ

ヨシコ
”ということは、1/38×100=2.7か”
”なるほど、灯油は1、電力は2.7だから、灯油と電力は同じ二次エネルギーでも土俵が違うってことね。”
クニオ
それに省エネ法の主旨CO2の削減、二次エネルギーである電力を消費してもCO2は発生しないから”
ヨシコ
”よくわかりました”
  

Posted by pasarela at 17:37Comments(0)省エネを分かり易く

2021年01月07日

省エネの流れを分かり易く…プロローグ冷暖房の割合は?

省エネの流れを分かり易く…プロローグ冷暖房の割合は?  

クニオ
”あけましておめでとうございます。”
ヨシコ
”今年もよろしくお願いいたします。”

ヨシコ
”では、早速昨年のおさらいをします。
4月から改正省エネ法が施行される、外皮と一次エネルギー消費の二本立ての基準に適合しなければならないけど、住宅は適合義務がない…でしたね。”
クニオ
そうです、「住宅は適合義務はないと言って無関心はいただけない、省エネは家計と共に地球の気候変動に直結す喫緊の課題だから、一人ひとりがエネルギーと暮らしの快適さについての立場を考えましょう!」と”
ヨシコ
”ですね、そこで「外皮基準の断熱性能を向上させれば目標達成では?」と質問したら「そうでもない」とやや拍子抜けの返事でしたね!”
クニオ
”家庭の用途別一次エネルギー消費(図1)を見てください、冷暖房の割合は25%程度、地域別(図2)から見ると、静岡県のような温暖な地域の場合は20%程度なんだな。”

図1 出典 自立循環型住宅への設計ガイドライン改修版

図2 出典 自立循環型住宅への設計ガイドライン温暖地版 


ヨシコ
”なるほど、これでは外皮(断熱)性能の向上のみの対応では大幅な省エネを達成できないわね!”
クニオ
”海外との比較(図3)を見てみましょう、日本は諸外国に比べても、冷暖房に限らず、総エネルギー消費の小さな国であることが分かる。”

図3

ヨシコ
”ほんとだ!、ヨーロッパだと冷暖房の削減は大幅な省エネになるわね!”
クニオ
”ヨーロッパだと断熱性能(外皮)アップの費用に対して、一次エネルギー削減の効果がおおきいから積極的になるわけだ。”
ヨシコ
”そっか、それに比べて日本は費用対効果が小さいこともあるけど、外皮(断熱)性能アップだけでは大幅な削減にならないから、他の一次エネルギー消費の削減も対象にしたんだね。”
ヨシコ
”ところでずっと質問したかったんだけど、一次エネルギーって何のこと。”
クニオ
”ジャー、次回は一次エネルギーの説明ね。”

  

Posted by pasarela at 17:34Comments(0)省エネを分かり易く