2018年11月16日

あちらを立てればこちらは我慢

 最近の開口部の建具(アルミサッシ)は、住宅の省エネ化を請けて高断熱性能のサッシが主流になりつつある。

 ここY邸でもアルミサッシはアルミと樹脂の複合窓を採用している、このアルミ樹脂複合サッシの熱的性能を表す熱貫流率は、3.49W/m2K(複層ガラス:中空層の厚さ10mm)、ちなみにかつて一般的だったアルミサッシは6.51W/m2K、アルミ複層サッシは4.07W/m2K(複層ガラス、中空層の厚さ10mm)である、貫流率は小さい値のほうが性能が高い。

 性能は向上し万々歳というわけにも行かない、メリットあればデメリットもある、当然コストも上昇し、ガラスが複層になっただけサッシの障子も重くなる、写真は高さ90cmのサッシでなので、コストも重さもそれほど感じないが、掃き出しサッシともなればデメリットもずっしりと実感できる。

 障子が重くなっただけ、動きも重くなる、動き出せばさほどでもないが、動きだしは摩擦抵抗も大きくかなり力がいる、特に高齢者の場合、開閉(特に開るとき)に難儀を来す。

 しかし、この開きにくくなった主な原因は、重くなったことよりサッシ性能アップにあるようだ、高性能サッシに限らないが気密性は重要な性能で空気の漏れは大敵だ。

 特に高性能な断熱サッシは、すきま風のや空気の漏れを嫌う、それを防ぐため障子と枠の間をゴム製のピンチブロックで負塞いでいる、下図の矢印の部品がそう。
  あちらを立てればこちらは我慢

 すべりを妨げるように働く抵抗力すなわち”滑り摩擦抵抗”は、動き出してから掛かる”ころがり摩擦”より大きい、我々の暮らしの至るシーンでこのことは実感しているはず、ピンチブロックがゴム製だであれば、滑りにくさはなおさらだ。

 メーカーもそんな事態を考慮してサポート部品をオプションで用意はしているけれど………。

 「あちらを立てればこちらは我慢 」とならないような配慮が必要だろう、設計者としても、あちらを立ててこちらも立つような工夫を心がけたい。



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