2022年10月31日

掛川産材を地場産業にする その2  

掛川産材を地場産業にする その2  


……前回は、気候変動に対する危機感等から、建築界でも木の利活用が大幅に進められつつあります、一方、木材産地にとっては大津波となる可能性があることを指摘しました。

さて今回は、その大津波に襲われても水没しないための取り組み(掛川産材を地場産業にする)について話が進みます。
掛川産材を地場産業にする その2  
掛川産材を地場産業にする その2  

ヨシコ
“津波で沈没しないためにはどうしたらいいと考えているの!”
クニオ
“鍵は報徳訓の「衣食住」にあると思うんだ”
ヨシコ
“身命の長養は衣食住の三つに在り 衣食住の三つは田畑山林に在り(-1) の衣食住のこと?”
クニオ
“そうです、この報徳訓は、暮らしの安全保障上、衣食住は必須の要素ですよね、だから衣食住は地元の人材と資源で完結させなければならないということだと思います”
ヨシコ
“えー そりゃー初耳だわ! …… でも、衣食住は暮らしの安全保障上不可欠だから、地場産業にするしかないってことはよくわかります! ”
クニオ
“住に深くかかわる建築も衣食住の住に含まれると!”
ヨシコ
“そっか!大津波によって衣食住の一角が、蟻の一穴のごとく崩れてしまっては一大事ってことね”


……話は白熱して  CLTや大断面集成材という大津波で水没しない処方箋はなにかという話題に移っていきます。   

クニオ
“処方箋はやはり、地域の掛川にすでに存在する建設インフラや人材の活用だと思うんだ”
ヨシコ
“ええー でもう少し具体的にお願いします”
クニオ
“だから、住宅を建てるインフラね、製材所、プレカット、大工さんなどのインフラと人材ね、仕事に精通しているし技術もある、さらに地域の事情も心得ているし”
ヨシコ
“なるほど、それを使わない手はないわね!”
クニオ
“もちろん従来どうりとはいかない”
ヨシコ
“一工夫が欲しい?”
クニオ
“例えばサーキュラーエコノミー(*2)を見据えた地場産業化とか …… 事業者の意識改革が不可欠だと思うんだ”
ヨシコ
“サーキュラーエコノミーって最近話題のアレかな …… えーと …… 環境に配慮した持続可能性の高い経済のことね”
クニオ
“サーキュラーエコノミーの三原則(*3)の一つに「自然システムを再生する」っていう取り組みが含まれているよね”


……話題はサーキュラーエコノミーまで言及されました、一方サーキュラーエコノミ―に取り組むうえで重要な課題も見えてきます。   
 日本では、木材生産における歩留まりが低い、例えば、山の立木から原木(伐り出したままの状態:丸太)までの歩留まりは60%程度(立木の上部の梢や枝、根元の部分が切り捨てられるので)、原木から製材までの歩留まりは50%程度、ということは立木から換算すると歩留まり30%程度となってしまう。
逆に言えば、約70%は活用できていない、だからこの捨てられている部分の活用が川上・川中の経営改善の鍵を握るかもしれない。……話はさらに続きます。

  
 ヨシコ
“えー サーキュラーエコノミーの三原則に「廃棄物と汚染を生み出さないデザイン」って取り組みがありませんでしたっけ”
クニオ
“ウッジョブ!(WOODJOB)(*4)   いい指摘だね     
 実は、木材の生産における製材の歩留まりはかなり低いんですよ …… 約30%…… これは、山の経営を疲弊させている原因でもあるんだけど、一方、サーキュラーエコノミーの原則に反するよね“
ヨシコ
“なるほどね、原材料の70%も捨てたんでは儲からないわね!
 現状は理解しました  ……  さらに何かありそうね”
クニオ
“ご指摘ありがとう、実は、CLTパネルの素材となるラミネ(挽板)の原木からの歩留まりって、驚くことに15%程度って言われています”
ヨシコ
“えー じゃー立ち木からだと歩留まり10%を切るって話 …… そりゃー大津波だわ”
クニオ
“でしょー だからCLTという大津波が押し寄せる前に産地は何らかの手を打つ必要があると思って「掛川産材を地場産業にする」を叫ぶことにしました”
ヨシコ
“木材の資源循環と建築の地場産業化を図る …… か ”
クニオ
“本年度は講習会を通して、その必要性と「掛川市の現状と課題」を取り上げて議論し、思いを共有し、次につなげる組織づくりまで行きたいなっと思っています、ご支援よろしく”
ヨシコ
“ラジャー 応援しますね”


(*1)報徳訓
長生きをするには、衣食住のバランスをよくしなければならないし、衣食住を良くするためには、それら をつくってくれる田畑、山林を良く手入れしなければならない。

(*2) サーキュラーエコノミー(循環型経済}
これまで経済活動のなかで廃棄されていた製品や原材料などを「資源」と考え、リサイクル・再利用などで活用し、資源を循環させる、新しい経済システム。

(*3) サーキュラーエコノミーの三原則
1.廃棄物と汚染を生み出さないデザイン(設計)を行う
2.製品と原料を使い続ける
3.自然システムを再生する

(*4)ウッジョブ! (WOODJOB)神去なあなあ日常:林業の日常を描いた映画の題名  この場合、意味はGoodjob ということ人あります。

木の家 #木組みの家 #土壁漆喰  #民家再生  #自然素材で健康的な暮らし #省エネ住宅 #愛がある #手間かける時間かける #古民家に学ぶ  #気候委風土型住宅 #リフォーム #住宅医  #掛川市 #菊川市 #松ケ岡   


同じカテゴリー(●「時ノ寿木組の家」の海図)の記事
平安の雅:やまと絵
平安の雅:やまと絵(2023-12-27 21:30)

民家再生:旅装束 
民家再生:旅装束 (2022-05-17 19:12)


上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
掛川産材を地場産業にする その2  
    コメント(0)