2015年12月23日

炭の敷き込み

炭の敷き込み

 エネルギー文明史上で、薪炭はずいぶんと長きに渡り人間の暮らしを支えてきた、一方薪炭の普及は木材資源を常に圧迫してきた、例えば世界最古の文明であるメソポタミア文明は、豊富なレバノン杉を使い尽くした結果衰退していった、もちろん薪炭だけでなく宮殿等の建築物や、造船などの資源でもあったことは言うまでもないが。

 産業革命以来エネルギーの主役は、薪炭から石炭や石油に変わっていった。

日本では、富国強兵の号令の元、急速に経済が発展し、その発展を支えるエネルギー需要の増加により、木材(薪炭)の価格が高騰し、1900〜1910年頃に産業用の主要エネルギーは木材から石炭に転換していった。

 閑話休題

 ところで、今日の話題は炭です、さらに冒頭にあるようにエネルギーと炭の関わりを述べることではなく、調湿として炭を床下に敷き込んだ現場のお話です。
炭の敷き込み

 炭が具体的にどの程度調湿能力をもつのだろうか、以下は、岩手県林産試験場のおこなった実験結果をみてみよう。

1)炭の材種による変化は少ない
 ナラ黒炭の調湿能力を100としたときアカマツ(108)・カラマツ(110)・杉(111)と樹 種の違いによる吸湿能力の差異はみられない。

2)吸放湿量は木材>炭>コンクリートの間を示し、床下が密閉空間で在れば調湿能力を  示す。
木炭は床下の相対湿度33%~98%で吸湿率3%~12%(炭1kg当たりの質量変化)の 能力がある。
 床下の炭20kg/坪の時の空気の水蒸気変動量は木炭20kg/坪で0.6g~2.4kg。

3)床下の温湿度調整は外気の影響を強く受ける…中略…年間では冬の低温低湿、夏の高温  高湿により、床下の温湿度変化が明らかになった。

1)は少し意外、と言うのも木の断面を顕微鏡などでみると、針葉樹の方が孔が多い、調湿能力が表面積に比例と言われていたので、針葉樹の方が能力高いと思っていた。

2)は、密閉状態での結果だから数値は現実的ではないだろう。


同じカテゴリー(●「時ノ寿木組の家」の海図)の記事
平安の雅:やまと絵
平安の雅:やまと絵(2023-12-27 21:30)

民家再生:旅装束 
民家再生:旅装束 (2022-05-17 19:12)


上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
炭の敷き込み
    コメント(0)